「優柔不断」から「予備役動員」に豹変したプーチンの「異変」

執筆者:名越健郎 2022年9月28日
エリア: ヨーロッパ
プーチン大統領は9月21日、予備役の部分動員令に署名したことをテレビ演説で発表した (C)EPA=時事
ウクライナ親露派支配地域の住民投票や新たな動員に抑制的対応を見せてきたプーチンは、なぜ再び「核の恫喝」を前面に押し出したか。その背景にはクレムリン内「戦争党」のロビー活動、左右両翼から高まる批判、そして友好国が集まるはずの上海協力機構首脳会談で孤立した影響などが考えられる。カービー米NSC戦略広報調整官は9月21日のプーチン演説のレトリックを「危険な前例」と指摘した。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が9月21日、予備役の部分動員を命じる大統領令を発表し、全土で招集が始まった。ロシアが支配するウクライナ東部、南部の4州の親露派勢力はロシアへの編入を問う住民投票を23~27日に実施。予備役招集と4州の併合により、ウクライナ侵攻は新段階に入る。ウクライナ側は無視して攻勢を続ける構えで、戦闘のエスカレートは必至だ。

 ロシアでは、動員に反発する若者らが国外に脱出、反戦運動にも着手するなど、社会の動揺が拡大し、国内情勢も緊迫してきた。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛 社会
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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