4地域を併合する条約に調印したプーチン大統領(C)EPA=時事

 

 ロシアは2022年2月24日、「特別軍事作戦」と称して「ネオナチから親ロシア系住民を守る」という名目ウクライナへの侵攻を開始し、一方的に独立を承認したウクライナ東部の「ルガンスク人民共和国」および「ドネツク人民共和国」のほか、南部のへルソン州やザポリージャ(ザポロジエ)州といった隣接地域をネオナチ勢力から「解放」した、と成果を訴えてきた。 

 さらに9月23日から27日にかけて「住民投票」と称して上記4地域のロシアへの「併合」を問い、国営メディアなどの発表によると圧倒的多数の賛成票を獲得し、9月30日に4地域のロシアへの「併合」を表明した。 

 ウラジーミル・プーチン大統領はこうした「併合」を見据えてか、2014年に独立を宣言したドネツク・ルガンスク両「人民共和国」、さらに今回の侵攻で支配するに至ったヘルソン州やザポリージャ州で「ロシア化」政策を図ってきた。 

 本稿では、上記4地域のうち、かねてから「ロシア化」政策が行われてきた「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」に着目し、その実態を浮き彫りにしたい。各種報道によると、ウクライナ東部にはロシア語を日常的に使用する親ロシア系住民が他の地域に比べて多いとされており、何をもって「ロシア化」とするのか議論の余地があるだろう。本稿では、各種インフラの整備などを通じて現地住民をロシアに同化・融合するプーチン政権の試みを、とりあえず「ロシア化」と定義したい。 

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