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 最近、仕組み債に関するニュースが金融関連のメディアで多く取り上げられている。内容はネガティブなものばかりだ。

「リスクに対してリターンが見合わない」

「金融機関の手数料稼ぎの商品だ」

「複雑な商品で多くの人には仕組みが理解できない」

「顧客本位の商品ではない」

 挙げればキリがないほどネガティブなニュースが出てくる。金融庁も批判的なレポートを出している。楽天証券が全面的に販売を取り止めた他、大手金融機関も部分的に停止するなど、対応に追われている。

 これだけ批判され、「嫌われている金融商品」をなぜ金融機関は販売したがるのか。そして投資家もなぜ買うのだろうか。そこには、投資家にとって訴求力が強いポイントがある。

仕組み債を購入するシニア世代

 仕組み債を購入している投資家は主にシニア世代や中小企業等の法人だ。どちらの投資家にも共通した運用の目的は「定期収入」だ。

 シニア世代の多くは、年金生活に入り現役時代より収入が落ちている。退職金や相続等で得た資産を有効に運用し、毎年定期収入を得たいというニーズがある。また中小企業等の法人でも社歴が長い会社は、過去の利益剰余金を積み上げて余剰資産を保有している場合が少なくない。本業での設備投資等に資金が向かない場合は運用ニーズにつながる。この場合も運用益が出れば決算書が良くなるので、毎年の利益を求める傾向がある。

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