統一は「必要でもなければ可能でもない」と感じる若者が増えている[南北首脳会談20周年を記念するデモでプラカードを掲げる統一支持派=2020年6月13日](C)AFP=時事

「同じ民族だから南北統一を目指すのは当然だ」――。

 朝鮮戦争休戦から約70年間、韓国社会に共有されてきた「南北統一観」が今まさに岐路に立たされている。南北統一に必要性を感じる人は減少し、統一に関する意識に世代間のギャップが広がっているのである。本稿は、毎年発表される「統一意識調査」をもとに、韓国社会における南北統一意識の変化を読み解く。

失速する「北風」

 北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、朝鮮半島に緊張が高まるなか、韓国のハンギョレ新聞が「尹大統領の対北朝鮮強硬策に世論“冷ややか”」という見出しの記事を掲載した。

「北朝鮮の同時多発的な武力示威で安全保障の危機が高まっているが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は支持率巻き返しの契機をなかなかつかめずにいる。北朝鮮の脅威など安全保障のリスクが高まるほど大統領の支持率が上昇する以前の様相とは異なる」(ハンギョレ新聞、10月17日)

 この指摘の通り、韓国政治における定説の一つが崩れている。

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