激化する南北の緊張:北朝鮮で進む「戦術核」開発

執筆者:平井久志 2022年10月20日
エリア: アジア
10月4日、北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイルは日本列島上空を通過して太平洋に落下した。その様子をモニターで確認する金正恩党総書記(写真)[KCNA VIA KNS](C)AFP=時事
9月25日から頻繁に繰り返された、北朝鮮のミサイル発射と挑発行為。その裏には、戦術核運用部隊を設置するなど「使える核」所有への前進と、米韓との対話を必要としないという金正恩のシグナルがある。(こちらに続きます)

 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は党創建記念日の10月10日、北朝鮮が9月25日から10月9日まで7回にわたって行ったミサイル発射は「戦術核運用部隊」の軍事訓練だった、と報じた。

 北朝鮮は、一連のミサイル発射は、米韓ならびに日米韓合同軍事訓練や米原子力空母「ロナルド・レーガン」の朝鮮半島周辺への配備など、米国・米韓・日米韓の軍事的対応への警告だとしている。だが浮かび上がってくるのは、北朝鮮が韓国や日本などを攻撃目標にした「戦術核兵器」の運用を、長期的な計画に基づいて着実に推し進めている現実だ。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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