首相職に復帰したプラユット氏(C)EPA=時事

 

 9月30日午後、タイの憲法裁判所は、任期問題によって首相職務を停止していたプラユット・チャンオーチャー氏に関し、6対3の評決によって「任期は切れていない」との判断を下した。プラユット氏の任期は、「任期上限8年」を定めた現行憲法が公布された2017年4月6日から起算すべきであるとし、任期は2025年4月まで継続するとの判断だ。

 この結果、「2014年5月のクーデターを経て8月に暫定首相に就任した時から起算し、2022年8月の時点で『任期上限8年』に達した」との国会内外の反プラユット陣営の主張は退けられ、プラユット氏は首相に復すこととなった。

 憲法裁判所は国王が任命する9人の裁判官(最高裁判所長官を含む)で構成され、その裁決は「絶対的であり、国会、内閣、裁判所、その他の国の機関を拘束する効力を有する」と規定されている。そのため今回の判断によって、「法的には」という制限付きではあるが、プラユット首相は2025年4月まで首相ポストに留まることが可能となるわけだ。

既得権益層とタクシン派の対立

 タイでは2005年前後から現在までの20年弱、タクシン・シナワット元首相を支持する勢力(=赤シャツ派)と、反タクシン勢力(=黄シャツ派)に国論が分断され、対立が解消されないまま続いている

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