タイ・プラユット首相職務停止で「タクシン派」は勝ち馬になるか

執筆者:樋泉克夫 2022年8月30日
タグ: タイ
エリア: アジア
首相職務停止となったプラユット氏(C)AFP=時事
プラユット首相の任期問題は、「任期切れ」を主張する野党の要請を受理した憲法裁判所が首相職務の一時停止を決定し、9月に最終判断が示されることになった。与野党の攻防は来年5月までに行われる選挙に向けて激しさを増している。

 

 8月24日、タイの憲法裁判所はプラユット・チャンオチャ首相の任期が憲法で規定されている「上限8年」を超えたかどうか判断する間、プラユット首相の職務を一時的に停止することを決定した。当面はプラウィット・ウォンスワン第一副首相が首相代行を務める。但し、憲法は首相任期のみを規定していることから、プラユット氏は兼任している国防相は継続して務める。つまり内閣から外れるわけではなく、閣僚の一員ではあり続けるわけだ。

憲法裁判所が”超法規的判断”の可能性も

 プラユット氏は国家平和秩序評議会議長として2014年5月にクーデターを主導し、同年8月25日に暫定首相に就任した。同クーデター後に制定された現行憲法では「首相任期上限8年」という規定があり、暫定首相就任時から起算すると今月24日で「上限8年」の任期に達していたことになる。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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