新首相に就任したスナク氏に立ちはだかる難題(C)EPA=時事

 

まるで救世主の帰国

 ボリス・ジョンソンは、カリブ海で家族とバカンスを過ごすのが大好きである。リズ・トラス政権が新経済政策「成長計画」、通称「ミニ予算」をめぐる渦中にあった間も、ジョンソンは3人目の妻キャリー夫人や2人の子どもとともに、ドミニカ共和国に2週間にわたって滞在していた。

 しかし、10月20日にトラス辞任が決まった途端、ジョンソン復活に期待をかける声がロンドンで相次いだ。保守派の重鎮で民間企業相のジェイコブ・リース=モグは22日、「次週に彼が首相官邸に復帰すれば、金融市場も収まるだろう」と述べた。国防相のウォレスや元内相のパテルも、ジョンソン支持を表明した。

 一方で、慎重な姿勢を見せる声も少なくなかった。何せ、ジョンソンは3カ月余り前に首相失格として放逐されたばかりである。

『ガーディアン』の政治副部長ジェシカ・エルゴットは、ある保守党議員から「もしボリスが戻るなら、労働党に移籍する」とのメッセージを受け取った、と伝えた。同紙は「ジョンソン復帰が招く4つの惨事」と題する記事も掲載し、「保守党が分裂する」「辞任の原因となったパーティー・ゲート(コロナ禍の最中に官邸でパーティーを開いた疑惑)でジョンソンへの捜査が進展している」「経済と市場が不安定化する」「右翼メディアからも反対の声が出ている」という4つの理由からジョンソン復帰シナリオを批判した。

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