「黄金の3年」に暗雲が垂れ込めている(C)時事

 

 岸田文雄政権の「負のスパイラル」はいつまで続くのか――。

 反転攻勢の切り札と位置付けた総合経済対策は、一夜で4兆円を積み増した舞台裏で歳出抑制を掲げる財務省に足元を見られ、閣僚の辞任にまで発展した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題も収まる気配がない。政府と自民の間には連携不足によるミスも目立ち、野党に国会運営の主導権を握られる始末だ。さらに失態が続けば、政局に不穏な動きも生まれかねない。

財務省に軽く扱われた首相

 政府が経済対策を閣議決定する前日の10月26日。自民党の会合に出席していた萩生田光一政調会長の携帯電話を、突然首相が鳴らした。

「経済対策だが、財務省が『萩生田さんも(一般会計総額)25兆円で了承している』といっているが、本当にそうなのか」

 驚いた萩生田氏は「そんなことは一言も了承していない」と返答。電話を切った首相は財務省を叱責し、最終的に経済対策の規模は、同省案から4兆円程度上積みした約29兆1000億円で決着した。

 萩生田氏は、経済対策の裏打ちとなる昨年度の補正予算が30兆円規模だったことを踏まえ、物価高に苦しむ今年度の予算規模は「30兆円台が発射台で、そこからどこまで伸ばすかが焦点だ」と公言していた。一方、財務省側は「官邸には当初、25兆円を下回る規模しか提案してこなかった」(官邸関係者)という。

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