大統領選の決選投票を制したルーラ元大統領(C)AFP=時事

 

 10月30日、ブラジルでは大統領選の決選投票が行われ、現職のジャイール・ボルソナーロ氏との一騎打ちの末にルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領が当選を果たし、来年1月1日に大統領に就任することになった。

 1985年の民政移管後に行われた選挙の中では最多の票数を獲得したルーラは、ブラジル初の3期目の任期を務める大統領となる。他方でボルソナーロは再選を目指して敗れた初の大統領となったが、ルーラ(50.9%)とボルソナーロ(49.1%)の得票率の差はわずか2ポイント未満であった。混乱が続くブラジル社会の統合に向けた舵取りには多難が予想されるが、ルーラ勝利は主要国の首脳からは好意的に受け止められており、ブラジル現代政治が生んだ唯一無二のカリスマに期待する声は大きい。

意識調査との誤差 

 10月2日に行われた大統領選の1回目投票は、ルーラの圧勝という大方の予想を裏切ってルーラ48.43%、ボルソナーロ43.20%という結果に終わった。主要な調査会社が行った事前の意識調査の結果を、率にして8ポイント以上上回る数の票がボルソナーロに集まったことで、保守勢力の強さがブラジルの国内外に印象づけられた。

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