2022年5月にラトビアのリガで行われた親ロシア派に対する反対デモ。参加者はラトビアの国旗を振りながら、親ロシア派の集会所となっている戦勝記念碑をなくすよう訴えた(C)AFP=時事

 

 本稿は、ロシア連邦(以下:ロシア)によるウクライナ侵攻以降、国際社会における存在感を増しているバルト諸国の対露認識とウクライナ紛争への認識を分析する。バルト諸国は伝統的にロシアを安全保障上の脅威とみなしてきた(実際に侵略を受けたことのある)国々であるが、本稿ではその中でも特にラトビアに着目する。ラトビアは、バルト諸国の中でも最もロシア語系住民の比率が高い点で着目され、2014年のクリミア占領以降、さまざまな架空戦記やシミュレーションでロシアの次の標的候補かのように扱われてきた。

 そんなラトビアで、ロシアや、ウクライナ戦争はどのように認識されているのだろうか。

 日本でも2月の侵攻開始以降、頻繁に多くの論者が、ロシアは安全保障上の脅威なのか、ロシアとウクライナの戦争は誰が悪いのかといったことを話題にするようになった。日本では圧倒的に「ロシアが悪い」という言説が強く、ある調査では日本こそが世界トップクラスでこの言説を支持する世論が強かったことも指摘されている1

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