ブチャの墓地で犠牲者の葬儀を導く司祭(C)AFP=時事

 

分散化する空爆対象、地上部隊と航空部隊の連携欠如、現場司令官の不在。ロシア軍の不可解な作戦から、どのようなプーチンの軍事戦略が見えるのか。防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄氏と東京大学専任講師の小泉悠氏が緊急対談を行った。(後半はこちらのリンク先からお読みいただけます)

 

空爆と地上侵攻の同時並行の評価は?

高橋 キーウ(キエフ)攻略を試みるまでの第1段階と第2段階への移行、さらに今という、大方に共有されているフェーズに区切って話をしてみようと思います。小泉さん、いわゆる第1段階の評価はどうでしょうか。

 

小泉 まず、ロシアが第1段階、第2段階というフェーズ分けを考えていたのかという問題があるのが、ちょっと厄介ですよね。おそらくそういうものは考えておらず、短い簡単な戦争で終わると思って始めたようにしか見えないですから。

 第1段階と言われるものは2月24日に始まっているわけですが、始まった空爆が数日間続くのかと思ったら地上部隊が越境してきた。しかも15万くらいしかいない兵力をかなり分散し、北部からも南部からも東部からも同時に攻めてきた。そのため大きな衝撃力を発揮できなかったように見えます。

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