習近平・中東訪問を「熱烈歓迎」と見る誤解

執筆者:村上拓哉2022年12月23日
王族に出迎えられた習近平国家主席。中国国旗カラーのカラースモークと紫のカーペットに注目(C)EPA=時事

 

 12月7-9日に中国の習近平国家主席がサウジアラビアを訪問し、滞在中に初となる中国・湾岸協力理事会(GCC)首脳会合、中国・アラブ首脳会合が開催されたことは、7月のジョー・バイデン大統領の訪問と比較して盛大に行われたことをもって、中東諸国は習近平を「熱烈歓迎」したと大々的に報じられた

 これは、米国の中東離れと中東諸国の中国への接近が昨今進んでいることに加え、ウクライナ情勢や石油生産に関する政策の不一致による米国と中東諸国との関係の冷え込みもあって、二首脳の対照的な扱いが殊更にクローズアップされた結果のように思われる。

 中東諸国と中国との経済関係は年々拡大しており、中東諸国が習近平を歓迎ムードで迎えたことは間違いない。米国の中東地域への軍事的関与が縮小しており、中東諸国が中国との関係構築を政治的に重視するようになっていることも、中長期的な傾向としては紛れもない事実である。

 しかし、今回の習近平の中東訪問がどのようなものだったかは、実態を踏まえてもう少し慎重に分析する必要があるように思う。

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