2021年1月6日に起きたアメリカ連邦議会議事堂襲撃事件で、ワシントンDCの上院会議室内にて叫ぶ抗議者。(C)AFP=時事

 昨今、全世界的に「陰謀論」の蔓延が大きな社会問題となっている。2021年1月に起きた米国連邦議会議事堂襲撃事件の主犯格がQアノン陰謀論の信奉者であったことも話題となった。日本でも、新型コロナウイルスとそのワクチンに関する陰謀論や、在日コリアンに対する排外主義的な陰謀論などがソーシャルメディア上で多く観察されている。

 こうした背景を踏まえ、拙著『陰謀論―民主主義を揺るがすメカニズム』では日本を対象として、どのような人が、なぜ陰謀論を信じているのかについて、実証的に明らかにした。

どのような人が陰謀論を信じているのか

 未読の読者のために、その内容を簡単に紹介しておきたい。本書では、日本で見られる様々な陰謀論を取り上げて、それがどのようなメカニズムで、どのような人が信じているのかを、サーベイ実験という統計的な手法を用いて検討した。結論だけを整理すると、大きく分けて以下3点となる。

1. Twitterの利用頻度の多さは、(意外にも)陰謀論的信念(どの程度、陰謀論を信じているかを示す概念)の低さと関連しているが、同時に、「私は冷静なので陰謀論に騙されることはないが、私以外の多くの人は騙されやすい」と考えやすくなること

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