イスラエル国会(クネセト)が、12月29日、ネタニヤフ元首相が率いる議会第一党リクード党(議席総数120のうち32議席)が極右政党や宗教政党と組んだ連立政権を承認し、ネタニヤフが政権に返り咲いた。イスラエル政治史上、最も右寄りの政権が誕生した。11月1日に行われた3年半で5回目の総選挙の結果を受けたものである。

   昨年6月にネタニヤフが退陣した際には、イスラエル政界全体での「ネタニヤフ疲れ」は顕著だったが、中道・リベラルから右派まで含んだ「反ネタニヤフ」連合は1年あまりしかもたなかった。左派政党が中道から票を食い合われることを恐れて距離を置き、アラブ系諸政党の連合も分裂し、得票率3.25%の足切り閾値を満たせずに、票を没収・分配され、右派の議席を増した。総じて言えば、反ネタニヤフ連合の分裂により、ネタニヤフの手に政権が戻ってきた。

   イスラエルは世界最先端の科学技術・情報技術産業を擁する先進国としての側面と、未整備で混乱したインフラに、西欧・東欧・中東・アフリカそして米国といった幅広い地域から、多種多様な文化や信条を持った、互いに相容れないアイデンティティを抱えたユダヤ人が集まる深い亀裂を抱えた発展途上の社会としての側面を併せ持つ。パレスチナ人やアラブ世界との「戦時」の感覚が薄れた現在、この国をまとめるシンボルは見出し難く、誰からも嫌われているかのようなネタニヤフがなおも、政界をリードしていくことになりそうだ。たとえ社会の半数から嫌われたとしても、同時に単独で最大の支持基盤を有するリクード党を掌握し、選挙では常に第一党を占めるネタニヤフの強みは相変わらずだ。同時に、多くの政党の指導層とはすでに過去に連立を組み決裂し袂を分かっているため、国内的な反発や国際的な波紋を考えれば「禁じ手」と見られていた極右民族主義や宗教右派を取り込む以外に政権を奪還する方途はなかった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。