対抗する勢力を見失い、とはいえ一党優位を続ける自信もなく (C)時事

 

 昨年7月の参議院選挙で勝利し、一昨年の衆議院総選挙での勝利とあわせて盤石の態勢を固めたかに見えた岸田文雄政権は、9月に入ってから急速に内閣支持率を低下させ、臨時国会中には各種世論調査でも30%前後にまで下がり、内閣不支持率は12月末には50%を超えた。2021年10月の発足直後の内閣支持率は60%を超えるものもあり、不支持率が20%前後だったのとは正反対である。臨時国会閉会後も特に支持率が上昇する気配もなく、国民からの信頼を得られないまま、政権は低空飛行を続けている。

 直面する課題は多々ある。コロナ禍が続いており、昨年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争により、安全保障環境は流動化し、エネルギーと穀物価格が上昇し、物価高が国民生活を直撃している。危機が重畳し、イギリスではボリス・ジョンソン首相を継いだリズ・トラス首相が短期で辞任イタリアでも政権交代が起こるなど、先進諸国は対応に苦しんでいる。日本の政権も同じ難局に直面している。

「なりそこねた」政党のもがき

 だが、岸田政権にとり、さらなる越えがたい壁は、現在の自民党の置かれた「なりそこねた」政党のもがきである。

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