独裁者にとって「私と連携するか、私を通すかだ」と示す好機に[2020年8月12日、ダマスカスで国会議員に向けて演説するアサド大統領](C)SANA/REUTERS

[ベイルート(ロイター)]シリアのバッシャール・アル=アサド大統領が、シリアとトルコの広域を襲った大地震を政治的に利用しようとしている。外国からの援助物資がトルコ経由でなく自国を経由するよう仕向けることで、国際社会で孤立する現状を打開しようとしていると、アナリストたちは見ている。

   2月6日に発生したマグニチュード7.8の大地震の被害を受けたシリアの人々に対して、世界中から同情の声が寄せられる中、シリア政府はこれを好機とばかりに、「被災地支援はシリア政府と連携せよ」という主張を繰り返している。

   西側各国はこれまでシリア政府の要求に応える様子はなく、アサド政権との関係を復活させようともしていない。だが、反政府勢力が支配するシリア北西部地域にトルコ経由で物資を届ける難しさのために、西側はアサド政権に歩み寄らざるを得ない部分もある。オクラホマ大学中東研究センター長のジョシュア・ランディスは、援助を梃子にシリア政府が「自らを正当化しようとしている」と語る。「苦しむシリアの人々に対して、アラブ諸国と世界から寄せられる善意に、アサドは付け込もうとするだろう」。

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