自然言語の文章・発想・説明を大量に学習している[ChatGPT、2023年2月27日](C)時事通信フォト

 極めて人間的な会話が可能な生成AIチャットボット(人工知能による自動会話プログラム)であるChatGPTが大きな話題になっている。対話の質が格段に向上し、従来の人工知能と比較して異次元の進歩を遂げたことが、どのユーザーにも実感できるレベルに達したからだ。

   このブレークスルーにより、生成AIが停滞気味のテクノロジー業界にとって新たな起爆剤になると期待されている。しかし、メディアで報じられるAIに関する壮大な物語は虚実入り交じっている。AI進化の背景にある設計思想、目的、方向性について深掘りした解説が少ないからだ。

   本稿では、ChatGPTをはじめとするAIについて米識者の分析をまとめ、等身大の人工知能の現在と未来を読み解いてゆく。

AIは「2030年に2兆円規模」の経済効果?

   実際にChatGPTを使ったユーザーが一様に驚くのが、人間が発するあいまいな質問や命令をかなり正確に理解し、機械が生成したとは思えない自然な回答を寄こすことだ。柔軟性や「博識さ」が、従来型の音声対話AIであるアップルのSiriやアマゾンのAlexa、グーグルのGoogle Assistantなどとは格段に違うのである。

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