豊島区長選挙の投開票日は4月23日。売却に強く反対した高野前区長の後任者の判断は? (C)新潮社

 3月29日午後7時前。東京都の豊島区役所。終業時間を過ぎ少ない職員たちの間にある情報が駆け巡った。「やはり延期のようだ」「そりゃそうだろう。数カ月はかかるのではないか」。ネットニュースに「そごう・西武の売却時期 再延期」が流れたときのことだ。

 セブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武の売却が迷走しているのは周知の通り。本来なら2月1日に、譲渡契約を結んでいる米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループと家電量販店ヨドバシホールディングスに売却が実行されることになっていた。

 それでも関係者との調整はつかなかった模様で、30日午後、セブン&アイは売却時期を再び延期することを正式に発表。新たな売却の実行日は示されていない。

新たな豊島区長は故・高野氏の遺志を継ぐか

 旗艦店、西武池袋本店のお膝元の豊島区。高野之夫区長(当時)は昨年12月、ヨドバシカメラの西武池袋への出店で「文化のまちの土壌が喪失してしまう」と売却交渉に猛烈に反発した。同店の所有権の一部を持つ西武ホールディングスの後藤高志社長(現会長)は、売却交渉の進め方について地域との協議が不十分だと不満を漏らしていた。

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