ラダック地方を流れるインダス川[2018年6月3日](C)Reuters

[スリナガル発(トムソン・ロイター財団)]気候変動の影響が激化し、水の安全保障がインド、パキスタン両国にとってより大きな懸案となる中、成立から60年以上経つ水分配条約を見直そうとインドが提案している。だが、パキスタンは今のところ賛同していない。

 条約の改定交渉、あるいは微調整でもできれば、インドだけでなくパキスタンにとっても意義は大きいと専門家は指摘する。なぜなら、両国がダム建設を進め、人口拡大による水需要が増し、旱魃と洪水がかつてより頻繁に繰り返される状況で、水の確保とアクセスは双方にとってこれまで以上に切迫した問題となっているからだ。

 1960年に世界銀行の仲介で締結されたインダス水利条約は、インダス川本流、ジェラム川、チェナブ川の80%をパキスタン、20%はインドに帰属するとした上で共同管理を定めたものである。膠着、小競り合い、時には戦争にも耐えて、この条約は生き延びてきた。だが、カシミールの領有を巡って緊張が高まった結果、2019年以降、インド・パキスタン間の外交関係は冷え、今度は水の共同管理と供給を巡って両国間の緊張は高まっている。

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