習近平総書記の親書の口頭伝達の様子は、異例の1面写真付きで報じられた(『労働新聞』HPより)
 

 4月8日付の1面トップは、習近平氏が金正恩(キム・ジョンウン)氏に口頭親書を送ってきたとの内容であった。着任したばかりの王亜軍駐北朝鮮大使が朝鮮労働党中央委員会の金成男(キム・ソンナム)国際部長に伝達したもので、習近平氏が国家主席に再選された際に金正恩氏が「最初に祝電を送ってくれたこと」に謝意を表しつつ、「中朝両党、両国関係を非常に重視する」「地域の平和と安定、発展と繁栄を促進させていく用意がある」などと述べられた。

 中朝間の口頭親書は過去にも報じられたことがあるが、今回の報道ぶりはきわめて異例であった。まず、口頭親書の伝達において両国担当者が向かい合う写真を1面トップに掲載した。しかも7日付の1面中段に「崔龍海(チェ・リョンヘ)同志に中華人民共和国特命全権大使が信任状を奉呈」との記事が掲載されていた。これも異例の写真付きで目を引いたばかりであった。北朝鮮では外国使節の信任状・召喚状接受を最高人民会議常任委員長(崔龍海氏)が担う。

 中朝の蜜月ぶりをわざわざ国内外に示した事実は、口頭親書の内容が金正恩政権にとって好ましいものであったことを意味する。これにより、2019年6月の習近平訪朝以来4年ぶりの中朝首脳会談の開催が視野に入った。今年7月には、毛沢東主席が息子を戦死させてまで北朝鮮を支援した朝鮮戦争の休戦から70年の節目を迎える。「血盟」関係の強化を図るにはもってこいの年であり、日米韓との対立先鋭化もそれを後押しする要因となる。

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