北京の公園で青空麻雀を楽しむ高齢者。こうした老後の生活も夢物語になるのか (C)EPA=時事

 日本で「後期高齢者」という言葉が批判を浴びたのは、すでに15年も前になる。中国では全国人民代表大会(全人代)を間近に控えていた2月、「低齢老年」という言葉がバッシングを受けた。「低齢老年」に明確な定義はないとみられるが、65~74歳を指す日本の前期高齢者よりも少し年齢が下がり、60歳から60代半ばすぎくらいのイメージのようだ。

60歳以上には認められない労災

 この言葉が話題となったのは、2月20日前後にほぼ同じタイミングで報じられた浙江省寧波市で起きた悲劇と、中国紙『工人日報』の評論記事がきっかけだった。

 前者は、大手宅配会社「中通快递」に勤める寧波市の男性(60)が勤務中の2月15日未明に倒れて死亡した件だ。中国のSNS微博(ウェイボー)などで広まった同社物流拠点の監視カメラ映像では、男性は午前3時50分ごろ、ベルトコンベアーで流れてくる荷物を仕分け中にふと手を止め、そのまま荷物に突っ伏すように倒れ込んだ。意識が戻らないまま死亡し、心臓発作と伝えられた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。