4月23日紙面トップに掲載された、金徳訓内閣総理(中央)「現地了解」の様子(『労働新聞』HPより)
 

 4月23日付1面トップは、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理が南浦(ナンポ)市の農業部門事業を「現地了解」したとの記事であった。最高指導者が「現地指導」を行い、部下である内閣総理(旧・政務院総理)が「現地了解」に赴くというスタイルは、金日成(キム・イルソン)時代の慣例を金正日(キム・ジョンイル)政権末期に復活させたものである。

 近年は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記による「現地指導」の回数が大幅に減っている。一つのきっかけとなったのは、2019年2月ハノイでの第2回米朝首脳会談が決裂に終わったことであった。北朝鮮国内では、ドナルド・トランプ米大統領(当時)との交渉により経済制裁が一部であれ解除されるとの期待感が高まっていたにもかかわらず、金正恩氏は具体的な成果を出せずに帰国することとなった。それ以降、金正恩氏に責任が集中しないよう、形式的であれ権限が分散されるようになり、特に民生面では内閣総理を司令塔として幹部たちが責任を負うような体制づくりが進んだのである。

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