金与正党副部長は「立場発表」という新たな形式で、米韓を非難した(『わが民族同士』HPより)
 

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記の動静報道が3週間以上にわたって途絶えているが、けっして稀なことではなく、『労働新聞』の論調にも何ら異変が見られない。最近の重要課題は毎年恒例の「田植え闘争」であり、「すべての力を総集中」することが求められている。

 米韓との対決姿勢も鮮明化している。5月8日付には朝鮮戦争休戦70周年に関する社説が掲載された。7月27日の「祖国解放戦争勝利記念日」(休戦記念日)まで2カ月以上あるが、各界各層による「米帝と傀儡逆賊一味」への「復讐決意集会」も連日のように報じられている。

 米韓、日韓首脳会談が立て続けに開催されるなど、日米韓の安全保障協力がますます深化していることに対しては猛反発している。4月28日には金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が米韓を非難する「立場を発表」した。米韓首脳による「ワシントン宣言」が「最も敵対的で侵略的な行動意志が反映された極悪な対朝鮮敵視政策の集約化された産物」だと断じたうえで、「敵どもが核戦争演習に狂奔するほど、朝鮮半島地域により多くの核戦略資産を展開するほど、われわれの自衛権行使もそれに正比例して増大する」と警告したのである。ただし、2020年6月の南北共同連絡事務所爆破のような具体的予告は伴っておらず、全体として抑制的なトーンであった。

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