民進党の頼清徳党首は「台湾独立」への言及を封印し、「蔡英文路線」の継承を明言するようになった(C)EPA=時事

 

 台湾は与党民進党と野党国民党の二大政党制であるが、中央政治のレベルでは両党の固定的な支持率に差がつき始めており、他方で中間寄りの国民党支持層を取り込むようなかたちで第三勢力である民衆党が支持を伸ばしつつある。調査機関や時期によって世論調査結果には違いはあるが、民進党は30から35%、国民党は20から25%、民衆党は15から20%の支持層を持つと考えられる。民進党が惨敗した昨年の統一地方選挙後、同党の支持率は大きく下がったが、4月までにこの構図はほぼ回復した。

 この基本構図を前提として、各党が無党派層を取り込んで支持率をどこまで膨らますことができるか、また他党との協力や他党の支持層の切り崩しといった選挙戦略を成功させられるかがポイントなる。

無視できない疑米論

 台湾の総統選挙では、各政党や候補者が台湾の現状をどのように定義し、守り、その時々の国際政治情勢のなかで中国とどのように向き合うのかが最大の争点となってきた。総統・副総統候補者は選挙戦のなかで自己の国際性をアピールするために、米国をはじめとする友好国との交流を競って行う。

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