約7カ月ぶりに株主の前で熱弁をふるった孫正義氏 (C)時事

 

「手元に5兆円を超える現金を手にしました。いよいよこれから反転攻勢の時期が近付いている」

 2023年6月に行われたソフトバンクグループ(SBG)の定時株主総会において、孫正義会長兼社長はこのように述べ、「反転攻勢宣言」として各メディアを賑わせた。

 孫氏が経営説明の場に姿を見せたのは、昨年11月の決算発表以来、じつに約7カ月ぶりだ。

 SBGは株式市況の低迷に伴い投資を抑制し「守りの経営」に徹していたが、孫氏の「宣言」によって再度「攻めの経営」に転じる、という見方もある。

 ロシアのウクライナ侵攻や米中対立などの地政学リスクが株式市場を冷やし、SBGの投資先の株価が低迷。それに伴い、SBGの決算も悪化している。23年3月期決算では9701億円の純損失を計上したが、22年3月期にも純損失1兆7080億円を出し、2年連続の赤字決算となった。SBGが最重要経営指標と位置付けるNAV(時価純資産)は、20年をピークに、ほぼ半分近くにまで減っている。

 こうした苦境が孫氏の「守りの経営」に繋がったわけだが、投資会社が投資を抑制してしのぐという本末転倒な状況に陥っていたとも言える。

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