2024年の商業生産開始を目指すタルガ・グループ所有のニスカ試験黒鉛鉱山[2022年8月、スウェーデン北部ノルボッテン](C)Reuters

 

[ロンドン発(ロイター)] 電気自動車(EV)の販売台数の急増により、黒鉛のEVバッテリー用需要が初めて他の用途向けを上回った。テスラやメルセデスといった自動車メーカーにとって急務となっているのが、黒鉛の主要生産国である中国以外からの調達だ。

 自動車メーカーはこれまで、EVバッテリーの原材料としてリチウムやコバルトの確保に力を入れる一方で、原材料の中で最大の重量を占める黒鉛については対策が後手に回ってきた。

 コンサルタント会社プロジェクト・ブルーによれば、天然黒鉛市場では今年初めてEV向けの需要が50%を上回ると予測されており、自動車メーカーはマダガスカルやモザンビークといった新たな生産地を開拓している。アメリカやヨーロッパでは、重要鉱物の中国依存を減らすことを目的とした法律が制定されているため、中国以外で生産される原料の不足が今後さらに深刻化しそうだ。

「西側の黒鉛事業に投資が行われてこなかったため、自動車メーカーは窮地に立たされている」と、スウェーデンで来年生産を開始するオーストラリアの素材メーカー「タルガ・グループ」の創業者兼社長であるマーク・トンプソン氏は言う。

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