アルメニアはロシアとCSTOに不満を募らせてきた[ミシェルEU大統領(中央)の仲介で首脳会談に臨んだアゼルバイジャンのアリエフ大統領(左端)とアルメニアのパシニャン首相=2023年5月14日、ベルギー・ブリュッセル](C)AFP=時事

 

 ロシアによるウクライナ侵攻は、ロシアが勢力圏とする旧ソ連諸国(ロシアがいうところの「近い外国」)にも大きな影響を及ぼしている。それはロシアと近い関係であるとされてきたアルメニアにも及んだ。少なくとも、ウクライナ侵攻が始まる前まではロシアが主導するCSTO(集団安全保障条約機構)に加盟しているか否かは、一定の「親露度」を測りうるメルクマールだったが、アルメニアはCSTO加盟国でもある。

 今年の5月22日、アルメニアのニコル・パシニャン 首相はアゼルバイジャンと係争中の「ナゴルノ・カラバフ」を条件付きでアゼルバイジャン領と認める用意があると述べた。その条件とは、現地に住むアルメニア系住民の安全の保障であった。そして、同日、パシニャンはCSTOからの脱退可能性も示唆した。これはアルメニアの外交の大きな転換点を予想させるものだ。

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