「ナゴルノ・カラバフ紛争」に参戦しないロシア「本当の思惑」 

執筆者:小泉悠 2020年10月9日
タグ: ロシア トルコ
エリア: ヨーロッパ
国営テレビのインタビューで「即時停戦」を呼び掛けたプーチン大統領(C)AFP=時事

 

 9月27日、アルメニアとアゼルバイジャンの間で大規模な戦闘が発生し、現在も終息の兆しが見えないまま続いている。

ついに「解凍」された紛争

 アルメニアとアゼルバイジャンはいずれも南カフカス(コーカサス)に位置する旧ソ連構成国同士だが、その関係は極めて悪く、両国の間に位置するナゴルノ・カラバフ一帯の領有権を巡って、幾度となく軍事紛争を繰り返してきた。

 ソ連時代、この地域はナゴルノ・カラバフ自治州としてアゼルバイジャン・ソヴィエト社会主義共和国の管轄下に置かれていたが、1980年代時点において、人口の8割近くがアルメニア系で占められていたと言われる。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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