2022年の日本の水産物輸出額(国・地域別)は、中国と香港で合わせて1626億円に上り、全体の4割以上を占めていた (C)Shutterstock/FOTOGRIN

 

 世界的な和食ブームで人気を誇ってきた日本の水産物が、主要な輸出先の中国や香港から締め出されつつある。東京電力福島第一原発から生じる処理水の海洋放出は、早ければ8月下旬にも始まる見通しだが、反対する中国と香港は、既に日本の水産物の輸入規制を強化するなど圧力を強める。日本の水産業者への打撃は大きく、関係者は憤りを隠せない。

中国・香港向けが4割以上

「安全でおいしい日本の魚が、なぜひどい目に遭うのか」――。海外で日本食が広がる中、輸出に力を入れてきた東京・豊洲市場(江東区)の水産業者は、中国や香港の規制強化に怒りをあらわにする。

 日本人の「魚離れ」とは対照的に、世界で需要が伸びている水産物。健康志向の高まりもあり、ヘルシーな魚介類を使った日本の食文化であるすしは、アジアや欧米などで空前のブームが続いてきた。中国や香港も例外ではなく、海外では日本食レストランが急速に増加。すしの海外普及を図る団体の関係者が「すしバブルが起きている」というほどだ。

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