台湾有事の出口戦略では台湾の「国家性」も焦点になる可能性が[中国軍の上陸を想定して実施された台湾軍の軍事演習=2023年7月27日、台湾北部・新北市の八里海水浴場](C)時事

 

朝鮮有事の「出口」を左右する北朝鮮の核

 それでは「歴史に学ぶ「有事の出口戦略」の論じ方()()」での議論を念頭に、また引き続き日米同盟側優勢のケースであることを前提として、朝鮮有事と台湾有事の出口のシナリオを考えてみたい(各有事の展開については、日本の抑止力とアジアの安定研究会『日本の抑止力とアジアの安定を考える』PHP総研、2021年;『防衛白書』2022年度版;小谷哲男「台湾海峡有事シミュレーション」『日本国際問題研究所研究レポート』2023年3月30日などを参照した)。

 北朝鮮の軍事行動により朝鮮有事が発生した場合、まずは米韓同盟としての対応がなされる。そして基本的には優勢勢力である米韓同盟側が、戦争終結を主導することになると考えられる。

 ただし、米韓同盟側が、北朝鮮の「将来の危険」の除去のために、金正恩体制の打倒という「紛争原因の根本的解決」を図るか否かは、米韓側の「現在の犠牲」をどこまで許容できるかにかかっている。

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