弾薬不足はロシア・ウクライナ戦争でも焦点に[ロシアの軍用車両から弾薬箱を回収するウクライナ兵ら=2022年9月22日、ウクライナ・ハリコフ]

 対中有事として沖縄の離島などへの侵攻を想定した場合、陸上自衛隊は迫撃砲やロケット弾などの弾薬が現在の20倍以上必要と試算していることが明らかになった(産経新聞、2022年8月13日付)。一方で、日本の弾火薬メーカーは利益率の低さや後継者不在による倒産や撤退が相次いでいる。日本は島国であり、有事の際の補給が著しく困難になる可能性が高く、弾薬の輸入への依存度が高いことは、日本の戦争継続能力に直接影響する。

 岸田文雄政権は新たな国家防衛戦略及び防衛力整備計画を発表し、防衛産業の強化を宣言した。政府は防衛力の抜本的強化に危機感を募らせるものの、防衛産業はこうした変化に追いついていない。

弾火薬生産を統合管理する米国、「規模の経済」を実現する欧州

 弾薬の潜在的な不足リスクは、当初の予想を覆し大規模な通常戦争となったロシア・ウクライナ戦争で再認識されることとなった。米国及び欧州では、弾火薬を防衛基盤を支える重要物資とみなし、積極的な施策を取ってきている。

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