《北尾吉孝vs.村上世彰》SBI新生銀行を舞台に始まった虚々実々の戦い

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執筆者:北山桂2023年10月12日
数年後の株式の公正価格が大幅に引きあがっていることは大いに考えられる (C)時事通信フォト

 SBI新生銀行の公的資金返済に向けたシナリオに想定外の事態が加わった。同行は、SBIホールディングス(HD)による2度のTOB(株式公開買い付け)を経て、9月28日に上場廃止に至っている。上場廃止の真の狙いは、同行に残る約3500億円の公的資金を完済すること。だが、旧村上ファンド系のエスグラントコーポレーションが上場廃止直前に同行の株式を大量に購入したことで、そのシナリオに狂いが生じている。同時に、SBIHDの北尾吉孝CEOと、エスグラントの実質支配者である村上世彰氏との虚々実々の戦いの火蓋が切られた。

 10月2日、SBI新生銀行は9月1日の臨時株主総会で承認された株式併合を予定通りに実施した。発行済み株式2000万株を1株に併合し、2000万株未満の「端株」はTOB価格と同額の1株2800円で強制的に買い取る(スクイーズアウト)。これにより同行の発行済み株式総数は10株となり、公的資金を注入している預金保険機構と整理回収機構が1株ずつを持ち、残り8株はSBIHDの完全子会社であるSBI地銀HDが持つはずだった。

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