反移民を掲げ、国民の不安を背景に支持を伸ばす右派ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は、10月8日投開票のバイエルン、ヘッセン両州の州議会選挙でも躍進した[AfDのティノ・クルパラ共同代表](C)EPA=時事

 

 地中海に浮かぶイタリアのランペドゥーサ島に、今年になって正規の入国手続きを経ない多数の越境者(不法移民)が対岸のチュニジアから船で漂着し、大きな問題となっていることは、日本でも大きく報道されている。その陰に隠れているが、ドイツでも、越境者の増大が深刻な問題となっており、統一直後の1990年代初め、2015年の難民危機に次ぐ、越境者流入の第3波に直面している。左派主導のオラフ・ショルツ政権も、越境者の流入制限、難民不認定者の送還促進にかじを切った。

EU圏を目指す最大1500万人の難民予備軍

 越境者流入の第1波は、冷戦崩壊後激化したバルカン紛争から逃れてきた人々で、1992年の難民申請者数は43万8191人にのぼった。

 第2波はシリア紛争などを背景にシリア、イラク、アフガニスタンなどからで、当時のアンゲラ・メルケル首相の難民受け入れ政策もあって、難民申請者数は2016年、74万5545人に達した。

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