領土の一体性回復は国際法の観点から全く正当。ただし……[ナゴルノ・カラバフの中心都市ステパナケルトで、アゼルバイジャン国旗を掲げるアリエフ大統領=2023年10月15日](C)AFP=時事 / AZERBAIJANI PRESIDENTIAL PRESS OFFICE

 2023年9月19日、アゼルバイジャンはアルメニアとの係争地ナゴルノ・カラバフに対する「対テロ作戦」を開始し、同地の非承認国家である「ナゴルノ・カラバフ共和国」(「アルツァフ共和国」)はわずか1日で停戦、すなわち事実上の降伏を宣言した。アゼルバイジャン政府側の要求である武装解除と重兵器の引き渡しにも合意がなされ、同月28日、サムヴェル・シャフラマニャン「アルツァフ共和国大統領」は、「全ての国家機関及びその下位に属する組織を2024年1月1日までに解散し、ナゴルノ・カラバフ共和国は、消滅する(ceases to exist)」ことを宣言した。

 ソ連末期から30年以上に渡って大小多数の紛争が発生していた係争地問題は、今回のアゼルバイジャンの「勝利」を以てひとつの節目を迎えた。しかしなぜ「今」だったのか、そして今後南コーカサス地域を巡ってどのような状況が生まれ得るのだろうか。

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