アメリカは再び「パウエルの過ち」をおかしつつあるのではないか[ガザ地区南部のラファでイスラエル軍の砲撃により負傷した子供を運ぶ男性=2023年12月14日](C)AFP=時事

 10月7日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃で、外国人を含むイスラエルの民間人約1200名が犠牲となり、200名超が人質とされた。イスラエルのネタニヤフ政権は即座に、ガザでの大規模な空爆と地上戦に乗り出し、12月はじめの数字で1万5000人を超えるパレスチナ市民が犠牲になっている。12月1日朝までの7日間の休戦を経て、ネタニヤフ政権は改めて、ハマスの壊滅を成し遂げるまで停戦はしない意向を表明した。

「イスラエルの9.11」?

「10.7」がイスラエル社会にもたらした衝撃、そしてその後の軍事行動の正当性を国際社会に対し、とりわけアメリカに対して訴えかける際、イスラエル政府は、「イスラエルにとっての9.11」という表現を用いてきた。22年前の2001年9月11日、アメリカを襲った同時多発テロ事件の記憶を呼び起こし、アメリカ国民の共感を呼び覚まそうとする狙いだ。

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