南大西洋のサウスジョージア島で、死亡したオットセイで鳥インフルエンザの検査を行う研究者[2023年12月](C)REUTERS/Dr. Marco Falchieri, APHA

[ロイター]鳥インフルエンザの存在が南極付近で初めて疑われたのは2023年10月のこと。英領サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島のバードアイランドで、海鳥のミナミオオトウゾクカモメ数匹が死亡した。

 その後、ゾウアザラシが大量死し始めた。

 12月には、イギリスの動物植物衛生局(APHA)とイギリス南極研究所(BAS)の研究者が感染の疑いがあった島で3週間かけ、死んだ哺乳動物と鳥からサンプルを採取した。

 サンプルから、ゾウアザラシ、オットセイ、ミナミオオトウゾクカモメ、ミナミオオセグロカモメ、ナンキョクアジサシが鳥インフルエンザA(H5N1)陽性と判明した。

 APHA科学サービス部長のイアン・ブラウン氏は「南極は非常にユニークで特別な生物多様性のホットスポットであり、こうした感染症がこの地域の哺乳動物に広がっているのは残念で懸念すべきことだ」と述べた。

 2021年に始まったH5N1ウイルスの世界的流行は、養鶏場で何百万もの鳥を死亡させており、南極の野生動物へ壊滅的な影響を与えることが懸念されている。先月にOFFLU(動物インフルエンザの専門家の国際ネットワーク)が発表した報告書によれば、H5N1ウイルスは鳥類48種と海洋哺乳類26種に感染する可能性がある。

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