米中対立時代における太平洋島嶼国(後編)|連携して発言力を増す資源豊かな「海洋大国」
2024年1月26日
米中両国による太平洋島嶼国への積極的な関与は、域外の他の国々にも大きな影響を与えている。欧州ではEU(欧州連合)を離脱後に太平洋地域との関係を強化する英国や、ニューカレドニアなどの海外領土を抱えるフランスも、島嶼国との間で大使館開設を進めている。また2023年には、インドのナレンドラ・モディ首相がパプアニューギニアで島嶼国首脳と会合を持ち、韓国も島嶼国と初めての首脳会合をソウルで開催した。このように、米中両国による島嶼地域への積極外交は、他の国々の関与拡大の呼び水となっており、もはやグローバル社会の周縁ではなく、21世紀新冷戦の最前線になってきているともいえるだろう。
カツオ・マグロ資源のOPEC化
国際社会から注目されるようになってきたことを太平洋島嶼国自身はどのように意識しているのであろう。その一端を理解できるものとして、島嶼国が近年国際会議などの場で積極的に使っている「我々は小島嶼国ではなく、海洋大国なのだ」という言葉を紹介したい。パプアニューギニアなど一部の国を除き、太平洋島嶼国は大部分の国が日本の都道府県はおろか市町村ほどの人口や国土面積を有しているにすぎない。また各国とも広大な太平洋に島々が散在し、欧米の海外主要マーケットから離れていることもあって経済発展が困難な「小島嶼国」として認識されてきた。
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