見えてきた台湾「頼清徳政権」の輪郭、対中・対米政策の基本方針
2024年5月17日

経済・民生問題や蔡英文政権が積み残した司法改革などへのスピーディーな対応が要求される[行政院副院長に就く鄭麗君氏(右)とともに情報セキュリティ関連イベント「CYBERSEC 2024」を訪れた頼清徳氏(中央)=2024年5月15日、台湾・台北](C)AFP=時事
台湾では5月20日に総統就任式が行われ、頼清徳政権が発足する。民主化後の台湾において初めて同政党内での政権移行であること、しかも頼清徳自身が現職の副総統であることもあり、新政権の輪郭はなかなか見えてこなかった。しかし、4月末までに概ねの政権人事が発表され、5月に入ると就任式や就任演説に関する報道も次第に増えてきた。本稿では、これらの政権人事や台湾での報道を手掛かりに、筆者が選挙前後の現地調査を行った際に得た理解なども織りまぜながら、可能な範囲内で新政権の展望を描いてみたい。
有権者も共有する「蔡英文路線は成功」との認識
新政権の対中政策や外交政策は、少なくとも今年中は蔡英文政権期からの連続性が極めて強いものとなると予想される。これは、選挙戦の段階から頼清徳が繰り返し「蔡英文路線」の継承を掲げ、彼自身の対外戦略である「平和のための四大柱1」が「蔡英文路線」の中核概念である「四つの堅持2」を前提としていることを考えると、何ら不思議ではない。選挙に当選した頼清徳が独自性をより強く打ち出すシナリオも想定されたが、そうはならない可能性が高い。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。