「特別軍事作戦」は計26ページを充てて詳述される[記者会見で新たな歴史教科書を紹介したメディンスキー大統領補佐官=2023年8月7日、ロシア・モスクワ](C)AFP=時事

6.プーチン政治による国力回復を強調

 さて、実際に教科書を見てみると、同書は1945年から1991年までのソ連時代を扱った第1部と、1992年から2020年代初頭のロシアを扱った第2部の構成で、計37章からなる。ハードカバーで、計448ページもあり、発行部数は5万部である。表紙には、ロシアが2014年3月に併合したウクライナ南部のクリミアとロシア本土を結ぶ「クリミア大橋」が描かれている。

 生徒の学習意欲を駆り立てる工夫も施されており、各章にカラーの図表や写真が挿入されたほか、各種資料にスマートフォンで瞬時にアクセスできるようにQRコードも付された。また巻末には「ペレストロイカ」「グラスノスチ」といったソ連史に関わる語句や「NATOの東方拡大」「テロリズム」など現代ロシア情勢を学ぶ上で必要な語句が数行で説明されている。重要事件をまとめた年表も付されている。各章には練習問題もあり、学習内容を振り返ることができる。クラフツォフ教育相やメディンスキー大統領補佐官が度々指摘してきた「特別軍事作戦」は、最後の第37章で説明されている。

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