ハルキウ州での「緩衝地帯」構築を防ぐ「欧米兵器による越境攻撃」容認
2024年6月5日
5月10日、ロシアはウクライナ北部のハルキウ州に対し攻撃を開始した。本格的な攻勢を5月下旬~6月にかけて、東部のルハンシク州、ドネツク州に対し東方向から行うだろうと予測されていた時期であったことから、おそらく、ウクライナ軍を北部に引き付け、東部の主たる作戦を有利にする攻撃と推測できた。また攻撃の時期的な観点では、英紙エコノミストによれば、これは予定よりも5~6日早めての攻撃であり、米国の兵器支援が6カ月ぶりに再開され、ウクライナの前線に届く前に攻撃を仕掛けたと分析している。
この攻撃が、十分な戦力をもってウクライナの内部まで侵攻していれば、東部で防御しているウクライナ軍の背後に廻ることになるため、戦況は大きくロシアに有利に傾いたかもしれない。しかし、ウクライナ軍の敢闘に加え、ロシア軍の戦力集中不足の側面もあり、攻撃進展は14日以降減速した。その後17日には、ウラジーミル・プーチン露大統領はこの攻撃が「ウクライナとの緩衝地帯を構築」するためであったと表明している。国境沿いに限定した攻撃ということなのであろう。しかし、米戦争研究所は、ウクライナ北部と接するロシア領ベルゴロド・クルスク・ブリャンスク3州には、これまでの戦闘に参加していない約5万人を集結して待機させ、第2段階の攻撃を準備していると報告している。引き続き北部正面にウクライナ軍戦力を引き付けようとする狙いがあるのだろう。
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