「10月7日」の中東地域への影響について寄稿

執筆者:池内恵2024年6月11日

 ガザ紛争についての分析を、私よりも若い世代の、中堅の中東研究者が中心になって編んだ論集が近く刊行される。

鈴木啓之編『ガザ紛争』(東京大学出版会、U.P. Plus、2024年6月25日)

 

 U.P. Plusは、大学出版会の通常の刊行物とは異なり、廉価なペーパーバックで、最新の知見を早期に市場に出すことを目的としており、シリーズ創刊時から私も何度か参加して本を作っている。

 今回は、私は「番外編」的な序章「一〇・七が中東地域に及ぼす影響」を寄稿している。中東の各国に焦点を当てた研究者は、どうにか主要国をカバーする程度には育って来ているものの、各国を横断する「地域」の政治・外交についての研究者は少ない。そのため、この部分で、イスラエル・湾岸関係を中心に調査研究を進めていた私が、補論のように補った形である。

「10月7日」以来、研究会やシンポジウムなど、多くが非公開あるいは記録が公刊されていない口頭の発言・報告や、SNSでの無数の議論、非公開の報告書などを、切れ目なく書き続けて来たが、それらを文章にまとめて刊行する時間が取れていなかった。

 この本では、無理やりに時間をとって、ここ8カ月の、口頭の報告やSNSでの議論で断片的に示して来たものをまとめてみた。若手・中堅主体による他の章と共に、ぜひ読んでいただきたい。

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