フランス総選挙中間報告(上) マクロン「解散」の勝算と「四銃士」の策謀
2024年6月25日

良くも悪くも「あえてリスクを取る男」なのは間違いない[テレビ演説で国民議会の解散と総選挙実施を発表するマクロン大統領=2024年6月9日、フランス・パリ](C)AFP=時事
多くの人が不意を突かれ、仰天したのは間違いない。欧州議会選の投開票が進み、フランス国内で野党の右翼「国民連合」(RN)が躍進を見せた6月9日、大統領エマニュエル・マクロンが突如表明した解散総選挙である。大統領と国民議会(下院)の任期が同じ5年のフランスで、大統領任期中の解散が想定外だったからだけではない1。国民連合が上り調子である一方、大統領与党「ルネサンス」がじり貧状態の時だっただけに、自らの首を絞める行為とみなされたのである。新聞の1面には「衝撃」(『フィガロ』紙)、「解散という地震」(『ラクロワ』紙)、「愚かな賭け」(『ユマニテ』紙)といった見出しが躍った。
いい意味でも悪い意味でも、マクロンが「あえてリスクを取る男」であるのは間違いない。そもそも、一度も選挙に出たことのない立場で2017年に大統領を目指したこと自体が、大いなる冒険だった。就任後は、米大統領ドナルド・トランプを対話に引き込もうと尽力したり(結果は失敗)、ロシア軍のウクライナ侵攻でロシア大統領ウラジーミル・プーチンとの交渉を試みたり(こちらも頓挫)、非難を覚悟の上であえて踏み込む姿勢を何度も見せた。ただ、いくら何でも今回は無謀すぎるというのが、内外の受け止めだった。
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