イスラエル絶対擁護というドイツの「国是」(後編)|交錯・衝突した2つの価値観
2024年7月9日

「パレスチナに自由を」と書かれた欧州議会選挙用の選挙ポスター(ドイツ国内にて筆者撮影)
定義さえ曖昧なまま政治の舞台で提唱されてきたドイツの「国是」は必ずしも、国民の賛同を得られているわけではない。
ヨーロッパ各地に拠点を置くシンクタンクELNET(European Leadership Network)が今年1月に行った世論調査(調査対象2500人)によると、「ハマスに対するイスラエル軍のガザ地区での軍事行動は適切だ」という意見にどれだけ賛成するかという質問で、「賛成する」と回答した人が41.8%だったのに対し、「賛成しない」と回答したのは、それを僅かに下回るだけの41.1%で、意見は真っ二つに分かれた。また、2023年10月の時点で「賛成する」と回答していた人が55.4%だったことからすると、時間が経つにつれて、イスラエルの軍事作戦を支持する人は大きく低下している。
さらに、オラフ・ショルツ首相が主張した「国是」について、「イスラエルの安全保障はドイツの国是である」という意見にどれだけ賛成するかという質問で、「賛成する」と回答したのは37.4%だった一方で、それを大きく上回る46%が「賛成しない」と回答している。
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