9月12日に日本列島を一周したロシアのTu142偵察機。23日には別のロシア軍機が礼文島北方で日本領空を侵犯した[防衛省統合幕僚本部より](C)AFP=時事

 ウクライナ侵攻後、欧州で孤立するロシアが、「反日」を前面に出して東アジア外交を強化している。日露関係は双方の制裁合戦で冷戦後どころか、戦後最悪の段階に陥っているが、ロシアは新たに、ウクライナ支援を続ける日本に対し、「歴史戦」を挑み、軍事的威圧を強めている。中国も日本無視の外交を展開しており、中露が反日で連携する構図だ。
 ロシアの反日外交は、自民党総裁選をにらんだ挑発の要素もある。日本の新政権は対中露外交で難しい対応を強いられよう。

プーチン氏が来年北方領土視察へ

 ウラジーミル・プーチン大統領は9月5日、ウラジオストクで行われた「東方経済フォーラム」の演説で、第二次世界大戦末期の旧ソ連軍による千島列島占領作戦をテーマにした博物館を極東に建設する方針を示した。プーチン氏は「第二次大戦の最後の戦いの記憶を風化させないことが必要だ」と述べ、日本軍と戦った兵士を称える展示にするよう指示した。

 旧ソ連・ロシアは従来、「火事場泥棒」とも称される千島占領作戦に後ろめたさがあったが、博物館建設は北方領土占領を正当化する開き直りといえよう。

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