上位10%が資源を独占するという『共産党宣言』から導き出した「九対一の比率」は、毛沢東にとって万能の黄金比となった[2024年9月30日、建国75周年を翌日に控えた記念レセプションで演説する習近平総書記=北京の人民大会堂](C)AFP=時事

※この記事は前編『独裁者はなぜ間違えるのか?――「バカだから」では説明できない毛沢東・習近平の判断ミス』から続きます。

独裁者の情報収集術

――さて、ここまでは中国共産党がいかに秘密を守ろうとしたかの話でしたが、続いて中国共産党がいかに情報を収集しようとしたかについて。国政選挙は存在せず、民意調査が原則禁止されている。このような独裁国家のリーダーがいかに民意を推し量るのかは大きな課題です。本書では「報告」「内部メディア」「陳情」「地方視察」という4つの情報収集チャネルを取りあげています。

報告とは、党・政府部局が階級ごとに上層に報告書をあげる制度。

内部メディアとは、新華社や人民日報などの国営メディア記者が下級幹部や民衆が読むメディアとは別に、一部の限られた上級幹部だけが読めるコンテンツを制作していたものです。

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