フランス「終わらない政治危機」の構造――物語なき中道はデマゴーグに抗えず
2024年12月31日

マクロン大統領の意中の人物は、実は別にいたという[テレビ出演した新首相のバイル氏=2024年12月19日、フランス・パリ](C)AFP=時事
フランスの政治的混乱は、収まる気配を見せない。2024年6~7月に総選挙が実施された後、約2カ月半を経てようやく発足したミシェル・バルニエ(73)首班の内閣は、さらに約2カ月半後の12月4日、国民議会(下院)で不信任案を採択されて崩壊した。大統領のエマニュエル・マクロン(47)は、フランソワ・バイル(73)を2024年で4人目の首相に指名し、年の瀬の23日に内閣が発足したものの、市民の期待は高まらない。マクロンの求心力は大きく損なわれ、欧州連合(EU)内や国際社会でのフランスの地位にも影響している。
ただ、今回の危機はマクロンのせいというより、右翼「国民連合」を率いるマリーヌ・ルペン(56)と、左翼「不屈のフランス」を率いるジャン=リュック・メランション(73)の思惑によるところが大きい。いずれも党首を若手に任せて院政を敷きつつ党の実権を独裁的に握る2人は、恐らく個人的な野望を実現させようと狙って、結果的に連携して政府を追い込んだのである。
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