自衛官の処遇改善に取り組む首相だが、当の自衛官にとっては期待外れの結果に終わるかもしれない[自衛隊観閲式で隊員を巡閲する石破茂首相=2024年11月9日、陸上自衛隊朝霞駐屯地](C)時事

 石破茂首相の肝いり政策の一つ、自衛官の処遇改善策で手当の引き上げなどを盛り込んだ施策がまとまったが、足元の自衛官からは不評だ。首相が重視した退職後の再就職支援は具体策に欠ける上、給与計算のもととなる俸給表改定が事実上先送りされたからだ。過去2度の防衛トップを経験した族議員の石破氏だが、当の自衛官からはどうにも人気がない。

 今年11月9日、東京都練馬区の朝霞駐屯地で行われた自衛隊観閲式で陸上自衛隊の部隊を前に、石破首相は訓示した。

「何よりも防衛力の最大の基盤は自衛官諸官であり、どんなに立派な装備品を整備しても、それを運用するのは自衛官であります。その定員が十分に満たされておりません。自衛官諸官が安んじて、国防という極めて枢要な任務に誇りと名誉を持って専念できるよう、万全の体制を構築することが必要です」

 北朝鮮がウクライナ侵略に加担してロシアへ派兵し、欧州の緊張がアジア太平洋へも波及する恐れが高まるなど国際情勢が悪化の一途をたどる中、首相の言う通り、自衛隊の採用人数は右肩下がりの状況にある。

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