肥満を「慢性疾患」として捉える必要があるという[イーライリリー「ゼップバウンド」のペン型注入器と、ノボ ノルディスクの「ウゴービ」](C)REUTERS/Hollie Adams/Brendan McDermid

[ロンドン発/ロイター]大手製薬会社ノボノルディスクとイーライリリーが開発した新たな抗肥満薬に関し、世界保健機関(WHO)は他の治療方法と組み合わせることで「肥満の世界的増加が終わる可能性が切り開かれる」との見解を示した。同時に、各国の医療制度が整わなければ、抗肥満薬は肥満問題への対応をむしろ後退させる可能性もあり、取り残される患者が出たり、健康改善に関するその他の取り組みがないがしろにされたりするリスクがあるとも警告している。

GLP-1受容体作動薬」として知られるこの新薬は、「ウゴービ」「マンジャロ」「ゼップバウンド」などの商品名で販売されている。

 WHOのチーフサイエンティストであるジェレミー・ファラー、栄養・食品安全担当ディレクターのフランチェスコ・ブランカ、同シニアアドバイザーブランカのフランチェスカ・チェレッティの三氏は、米国医師会が発行する学術誌「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」に寄稿した意見文の中で、GLP-1受容体作動薬は「変革を起こすポテンシャルを持つ」と評価した。一方で「薬のみを使う治療は肥満問題の解決にならない」とも記述した。GLP-1受容体作動薬は、医療関係者や政府関係者、製薬業界、そして一般社会に、肥満は慢性疾患であり、予防や治療に関する研究が必要だと認識させるきっかけとなるべきだと主張している。

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