ロシアの核威嚇が応用されるなら、東アジアにおける中国のように通常戦力において優勢な側であっても、核を活用しようとすることはありうる[プーチン露大統領](C)AFP=時事

 

ステージを上げた核威嚇 

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年2月のウクライナ侵略の開始以来、さまざまな形で核使用の威嚇を繰り返してきた。それは、ウクライナによるクリミア奪還、支援国から供与された兵器のロシア領内への使用、NATO(北大西洋条約機構)加盟国部隊のウクライナへの配置、ロシア領への攻撃などさまざまな点に向けられてきた。

 1945年の広島、長崎への原爆投下によって、世界が「核時代」に入って以来、核威嚇や、核使用の検討は何度となく行われてきた。朝鮮戦争、台湾海峡危機、ベトナム戦争、中ソ国境紛争、印パ紛争などの事例が思い起こされる。一方、これほど頻繁かつ執拗に核威嚇が行われるのは、新たな現象である。

 

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